9月22日
浴室では、洗い場にモルタルが敷かれていた。 夫が決めたのは、モルタルにすのこ。 これに私は反対していた。 確かにすのこを敷けば、足あたりはいい。 タイルに比べたら木の方があたたかく軟らかいからだ。 でも手入れは? いくらヒノキでも、木は傷む。 すのこの隙間にも汚れがたまる。 私は毎日すのこを上げて、下のモルタルも排水溝も掃除しなければならない。 「だったら掃除すればいいんだよ」 他人事のように夫は言う。 それならせめて下はモルタルではなく、タイルにしてくれないかと夫に頼んだ。 タイルの方が見た目に美しく、 すのこが傷んだ時は、そのままタイルの洗い場として使えるからだ。 しかし夫は頑固だった。 「モルタルでいいんだよ」 設計士さんや工務店さんからもタイルを勧められたのに、 夫は考えを変えなかった。 9月23日 今日もタイル屋さんが来ている。 そっとのぞくと、洗い場にタイルを置いていた。 洗い場はモルタルのはず。 「タイル屋さん、間違えてるのかな・・・」 そう思いながらも、貼ってしまったらもう剥がせない。 これはチャンスだ。 やった! このまま貼ってもらおう。 しかしその日に限って、夫はいつもより早く帰って来た。 そして工事の様子を見に行った。 タイルは間に合っただろうか・・・。 しばらくして戻って来た夫は、何も言わない。 私は緊張しながら聞いた。 「洗い場ってタイルになってたけど・・・」 「あぁ、タイルに変更した」 「えっ、いつ?」 「この間」 いつもこうだ。 勝手に決めて、勝手に変える。 9月30日 工務店の職人さんが、すのこを作ってくれた。 ホームセンターで売っているようなすのこを想像していた私は、 思いがけず立派なすのこにびっくり。 ただのすのこではなく、これはもうヒノキの床だ。 10月2日 久しぶりに工務店の職人さんがやってきた。 もう木工事はほとんど終わっている。 9月30日の打ち合わせの時、このすのこには手を加えることになった。 設計士さんと工務店の社長は 浴室にこもって何度もこのすのこを上げ下げしていた。 手を入れる所がない。 洗い場ぴったりのサイズ。 さらに、かなり重い。 なんとか隙間に指を入れて持ち上げても、 下ろす時には途中で手を離すしかない。 試行錯誤の結果、こうなった。 「後からいろいろお願いしてすみません」 と言う私に、職人さんは 「いいよ、いいよ」 と笑顔で作業してくれた。 こうやって何かあるたびに融通が利く所がいい。 しかも、いつ何を頼んでも気持ちよくやってくれる。 だから私は、職人さんたちが大好きだ。 #
by donary
| 2008-10-04 20:04
| その他工事
7月31日
初めて見る職人さんは、タイル屋さんだった。 タイルを貼るための下地が始まった。 上の部分はヒノキの板張りが済んでいる。 下は石を勧められたのだが、夫が納得せずに未定になっていた。 8月7日 浴槽が搬入された。 工務店の職人さんも手伝って浴室に運び入れた。 設置はタイル屋さんと水道屋さんの仕事になるようで、 ひとまず洗い場部分に置くことになった。 8月28日 浴槽の下地。 暑い中、狭い浴室での作業だ。 9月11日 やっとタイルが決定。 ADVANという輸入建材販売会社の商品で、 タイルといっても素材は天然石のようだ。 この会社のショールームで、夫と私が気に入ったのはガラスのタイルだった。 しかしそれはこの家には合わないということで、 結局設計士さんのオススメのものを採用することになったのだ。 「これは気に入ったので、また使いたいと思います」 と、設計士さん絶賛のタイルだ。 目地が入ると、見本とは雰囲気が変わる。 タイル屋さんも 「このタイル、いいですね」 とほめてくれた。 確かにヒノキとの相性もよく、形も不自然な所が自然ぽくていい。 #
by donary
| 2008-09-29 16:31
| その他工事
この家を建てるにあたり、何よりも重視したのは湿気対策だった。
設計士さんにも、基礎屋さんにも、工務店さんにも、 しつこいくらいに湿気対策をお願いした。 それでもやっぱり問題は起きた。 7月21日 養生のためのシートを外すと、 大黒柱は変色していた。 「ちょっと前から気づいてたんだけど、住職に見せられなかったんだよね」 と職人さんが言う。 黒ずみの正体は、カビとアク。 柱を触ってみると、しっとりと湿った感じ。 ただでさえ湿気の多い山の中で、 梅雨時ともなれば当然カビは発生しやすい。 しかし杉材はやわらかいので、養生しない訳にはいかないのだ。 「乾燥が甘かったんだなぁ」 通常、建ててからカビが出ることはまずないと言う。 しかしこの大黒柱は無垢材で、普通よりも太い。 「せめて割れを入れさせてもらえれば、もっと中まで乾燥したんですが」 材木屋さんはそう言っていた。 「塗装屋に言ってみましょう」 東海建設の池谷社長はそう言い、 さっそく手配してくれた。 数日後、塗装屋さんは下見に来た。 カビが出たのは大黒柱だけではない。 梁にもだ。 今さら交換などできるはずもない。 柱の目立たない部分に薬剤を塗布して様子を見ている。 こうなったら、塗装屋さんに期待するしかない。 7月28日 先日の下見の後、塗装屋さんは アクヌキだけのもの アクヌキのあとにカビ取りをしたもの という見本を用意してくれていた。 せっかくの材料だから、やりすぎてはいけないという配慮なのだろう。 しかしカビの根は深そうだった。 結局、カビ取りもしないわけにはいかなかったようだ。 丁寧に薬剤を塗り、 中まで浸透するようにラップのようなもので覆っていく。 作業の終わった柱は、見事に蘇った。 8月28日 雨の季節が過ぎても、湿気は残っていた。 せっかくのテーブル材も、一枚板の家事室の机も、 心配していた通り黴びた。 「ちょっと乗せとくだけで、すぐ色が変わっちゃうんだよ。 でも、養生しないわけにはいかないしなぁ」 下駄箱の奥、食品庫の壁、 もうあちこちに青や黒のカビが見える。 「建ててるそばからカビが出るんだよ。 こんな現場、初めてだ」 集中豪雨で内部がちょっと浸水したこともあり、 もう塗装屋さんが頼みの綱。 ただカビを取るだけでなく、今後のカビ対策も真剣に考えなくては。 #
by donary
| 2008-09-14 15:35
| その他工事
8月11日
外壁の塗装も終わろうというこの日、 帰宅の早かった夫と東海建設さんに出向いた。 ダイニングテーブルにするために考えていたのは、 900mm×2500mmという寸法の一枚板。 夫は材木屋さんや設計士さんと一緒に 新木場にまで見に行ったりもしたのだが、 さすがにこの大きさのものはみつからず、 2枚の板を継ぐことになったのだ。 東海さんでも探してくれていて、 ちょうどよさそうな材料が入ったので、 早いうちに見に来てほしいと ずっと前から言われていたのだった。 夫が多忙のため、 なかなか秦野まで行くことができず、 写真を見ただけであとは東海さんにお任せし、 乾燥にまわしてもらっていた。 工場に到着すると、 テーブル材にはちょうど鉋がかけられているところだった。 墨付けをしていた四代めにも声をかける。 私たちの家の上棟の後は他の現場にまわっていて、 お会いするのは久しぶりだった。 「なかなかそちらにいけなくてすみません」 そう言いながら仕事の手を止め、 2枚のテーブル材を合わせてくれた。 耳を残してもらっていたのだが、 それがとてもいい。 「こっちがまだ乾燥が甘いような感じなんだよねぇ」 1枚を指差して社長がそう言うのにはわけがあった。 #
by donary
| 2008-09-07 21:07
| 大工仕事
7月31日
定例打ち合わせにて、外壁・内壁の色を検討。 「これでいいでしょう」 高橋先生の一言であっさり決定し、 いよいよ塗装が始まる。 8月7日 左官屋さんのトラックが到着。 材料は3種類。 「この色でいいんすよね?」 左官屋さんが色見本で確認をする。 「これって、経験で配合を決めてるんですか?」 「いや、ちゃんと分量が決まってますよ] 城かべが20kg、珪砂が10kg、色がついてるのが400g ・・・ だったかな。 8月8日 見本より黄色く見える煙突が気になり、 夫が設計士さんに電話をしたらしい。 「色、これでいいんすよねぇ?」 左官屋さんがまた見本を持って来て、私に確認する。 「だって、この分量で塗ってるんでしょ?」 「はい。乾けばこうなります。 あと、小さい見本で見るのと大きい壁で見るのとでは、印象が変わります。 横にして見るのと縦で見るのとでも、光のあたり方で違いますし」 「じゃ、いいんじゃないですか?」 「いいっすよね?」 「いいです、いいです」 塗装の前に、下地に何かを塗っているのでまた質問する。 「それは何を塗ってるんですかー?」 「これはー、接着と速乾防止剤ですね」 「仕上げは1回塗り?」 「はい、でも塗った後に表面を荒らします」 塗装して乾くまでの間に、スポンジのようなもので表情をつけるのだ。 これを自然な感じに仕上げるのは、かなり難しいらしい。 あの見本の中では、これがいちばん表面が荒いのだが、 このやり方が最も手がかかっているのだそうだ。 前日に仕上げた煙突と比べると、 色の違いがはっきりわかる。 「乾けばもう少し白くなります」 職人さんの言う通り。 8月11日 外壁の塗装、完了。 #
by donary
| 2008-09-05 22:46
| その他工事
|
カテゴリ
以前の記事
2009年 06月
2009年 04月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 メモ帳
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||